アジアは借金の罠におちたが、中国総体の債務はいくらなのか 債務の公表数字はあまりにも少なすぎて、統計の参考にもならない(宮崎正弘国際ニュース早読み)

2018-04-04 | 中国事情・中国情勢

中国は地方政府の負債を債権と交換するなどの荒っぽい手口で不良債権率を低く見せかけているが、過去の地方政府が野放図になしてきた銀行からの借金は、どうなったのか。累積額はいったい幾らなのだろう?

その資金を供給した銀行も国有銀行であり、「親方五星紅旗」だから、問題はないとばかりにじゃんじゃん不動産開発、地方政府の公共事業に貸し込んできたことは周知の事実である。公表された数字では、中国の国有銀行の不良債権率、いずれも1%台だ。一番悪い数字の中国農業銀行とて、1・81%(17年末)。日本の基準に照らせば、「成績優秀行」である。

ところが、しばらくして中国農業銀行は増資を静かに発表した(3月13日)。第三者割り当てで1兆7000億円。政府系金融機関が引き受ける。というより強制的に引き受けさせられるのだ。この何気ない報道からも、中国のファイナンスの実態が浮かび上がってくる。誰も信用しない統計を平気で公表する面の皮の厚さも、中国ならではの風景だ。

一部の楽天的なエコノミストは1980年代のラテン・アメリカ諸国が、破産寸前に追い込まれて通貨暴落、猛烈インフレが政情不安を呼んだ事実経過を例証し、けっきょくIMFの管理下となって、経済を立て直したように中国金融の再建は可能だとしている。甘い見通しだと言わざるを得ないだろう。

中国政府の公式統計では地方政府の債務残高は12兆6000億ドルである。中央政府の負債はちなみに10兆3100億ドルである。

だからGDPの36・2%に過ぎないのであり、中国の債務バランスは健全だと、まやかしの数字を使ってその場しのぎをしてきた。いまも誤魔化しは続いている。

地方政府の隠れた債務はほかに14兆ドルと見られている。ウォール街の専門家が見積もるように中央と地方政府の債務は合計で36兆9100億ドルになる。日本円に換算すると(1ドル=105円で計算)、3875兆円、これが公的債務の累積と考えられている。

国有企業の債務は、この統計には加算されておらず、まして民間の個人消費である不動産ローンの残高などは公表がなされない。卒倒するような禍々しい数字になるだろうと推測される。

この最悪数字を誤魔化すためにシャドーバンキングが悪用され、さらには「理財商品」を預金者、投資家に売りさばいて当座の危機を回避してきた。「理財商品」の残高は17年末で53兆元(邦貨換算で900兆円)。良心的エコノミストなら気絶するかも。

▲爆買いどころか、中国国内の消費も頭打ち傾向が歴然とでてきた

2018年の春節の旅行は減少傾向を鮮明にした。海外旅行も外貨持ちだし制限にあって、限度額があるため消費は振るわなかった。小売りはスマホ、自動車の売れ行きが鈍化しており、ここへ来て消費の頭打ち、微減がはっきりしてきた。

問題は不動産である。北京はマンション価格高騰で、目を血走らせた投資家が、建設中のマンションを買ったりしたが、頭金は33%、また住宅ローンの金利は5・3%である。2017年末のローン残高が40兆5000億元(一元=17円で計算しても、688兆円。日本のGDPより多い)

いまさら指摘するまでもないが比較材料として、日本のGDPは530兆円、2018年度予算は92兆円だ。中国が天文学的な借金を背負っている事実は、これでおわかりいただけるであろう。それでも中国経済は大丈夫だと言いふらす人々は、何を考えているのだろうか。甚だ不思議なのである。